野田サトルのブログ
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チカパシについて

7/7/2016

 
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チカパシという名前は本編で「陰茎を立てる」という和訳を採用したが
本来は チカプ=鳥 という意味で、陰茎というのは暗喩だ。


吉田巌氏「アイヌ史資料集」の中に
「珍奇な名前」としてチカパシは取り上げられており
その本での和訳は




















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見た瞬間「いい名前だ」とつぶやいた。
まさに勃起じゃないか。ぜひ谷垣と引きあわせたいと思った。

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チカパシはいつも顔が汚い。
スヌーピーにいつも汚い子供が出て来ますね。

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こんな奴。
いつもホコリが立っている男の子。名前がピッグペン(豚小屋)。
あの漫画もなかなか闇が深いようで、愚痴っぽく冴えない主人公は奥さんに虐待されていた作者本人がモデルだし
ピッグペンもアニメでは家族が洗っても、すぐ汚れる子というエピソードをとってつけたように描いてたけど、

実際は作者の近所の育児放棄された友達がモデルなんじゃないかと予想してる。


さてチカパシが出てくる回を描いて、ちょっと不思議な事があったので
ブログの記事にした。

8巻ではチカパシが見てる前で、谷垣が子鹿を倒し、解体する。
そしてアシリパさんの叔父が前足を切り取り、
「筋肉だけでつながってるから簡単に外れる」
という話しをする。
これは正月に狩猟へついて行った時、猟師さんが教えてくれた。



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チカパシは疱瘡で家族を失い、彼だけ生き残り
ひとりぼっちであるという過去が明かされる。


疱瘡は感染力が非常に強く
たしか増毛にあったコタンだったか疱瘡で滅んだアイヌの村もあったようだ。
狩猟をするため家族で山へ入ることはよくあり、そこで家族の誰かが疱瘡にかかったら
病人は小屋に置いてゆき、他の人間も村に戻れず潜伏期間が過ぎるまで山をさまよったそうで。
感染すること無く生き残った家族が村へ戻っても「なぜ戻ってきた。うつす気か。」と罵倒されたという記録がある。







さて・・・不思議な話とはここからなのだが
チカパシを描いた後に、アイヌの昔話が書かれた古い本を見つけた。
その中に、疱瘡の神様の話が書いてあったので簡単に説明する。


アイヌの男の子がおじさんと山へ狩猟に行くと疱瘡の神様たちが川を上ってきた。
神様たちが食料をわけてくれと頼むと、おじさんは少年に子鹿の前足だけ持って行かせる。

少年はこれじゃ皆で食べるには足りないだろうと思いつつも疱瘡の神様に差し上げた。
その疱瘡の神様が言うには、
「実はお前の家族は我々が全員殺した。ケチなおじさんも殺す。
でもお前は助けてやろう。」そして少年は一人で山を下り生き残る。
という内容。

これを読んだとき、「これは描かされているな」と感じた。



ゴールデンカムイではこういう偶然が結構あって上手く行ってきた部分がある。
わりと適当に決めたことが後々うまく設定にはまってることがあったりもする。
何かは教えませんけど。

自分はこういったサインを大事にしながら作品を描いている。
チカパシのようなことがあると、
「この作品は間違ってない。きっと上手く行く」と
ポジティブに考える事ができる。
毎週、「この選択は正しいのだろうか、あとあと矛盾が生まれないだろうか」などと
悩みながら漫画を描いてる時にこういうことがあると心強い。













チカパシのマキリ。
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あとぜんぜん違う話だけど
これの元ネタは「モト冬樹」だ。

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というかモト冬樹もおそらく「世界まる見え」で
海外のストリートパフォーマーがやっていたの
を観て真似したんだろうと思う。2、30年前に自分もそれ観てたから。

サカナクションのPVは一度も観たこと無いけど、
作ってるひとが自分と同世代なのかなと思う。


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    週刊ヤングジャンプ
    「ゴールデンカムイ」連載中

    既刊
    「スピナマラダ!」全6巻

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