野田サトルのブログ
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儀式

10/18/2014

 
前作「スピナマラダ!」の話。






強豪といわれるチームには、独特な
伝統がある。
勇払高校のモデルとなったのが駒苫なんだが、このチームにもいろいろとある。
試合開始直前の円陣、これはこのチームしかやらないスタイルだ。作中で使わせてもらった。
決勝戦でしかやらない形。
長く低い雄たけびを波のように繰り返す。結構長くて20秒くらいやってる。


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初めて見た時はパールジャムのジャケットみたいでカッコイイなと思った。
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やはり地元のホッケー少年はこの円陣に憧れるんだとOBの方がおっしゃっていた。




予選とかでは下のようなスタイルであっさりと済ませる。
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駒苫は現役の選手でさえ意味が良く分らない儀式を、決勝戦直前のロッカールームでやったりするらしい。
一年に一度、全国大会の決勝戦でしかやらない儀式。
それがまた強豪チームらしくてとても良い。
これらの儀式は選手の集中力を引き上げる技術なんだとOBの方はおっしゃっていた。
先生はそういう人心掌握術がうまいんだと。

いろいろと聞かせていただいた中の一つ。
ロッカーで先生が腕を組んでのけぞり、先輩たちが後ろでささえ、
先生がひとりで校歌をものすごい大声で歌ってくれる。声が裏返って絶叫しながら歌う。
最初は一年生も吹きだしてしまうそうなんだが、そのうちいろんな想いがこみ上げてきて涙がこぼれて来たらしい。


こういった儀式によって、ある種トランス状態になった駒苫の選手は
決勝戦のフェイスオフ直前にもなると「目の色が違う」とおっしゃっていたのが印象に残った。
三年間寝食を共にしたチームメイトの顔つきが違って見えるんだから相当なものなんだろう。

この話を聞いたとき、校歌は大事なモチーフになると確信したので、作中の歌詞は自分で作った。




優勝した瞬間。

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本編で使いたかったが割愛したネタがある。
優勝のセレモニーが終わり、選手たちがチームメイトをひとりずつ胴上げするシーンだ。

チームメイトひとりひとりの名前を全員で呼ぶ。呼ばれた奴はリンクを逃げまくる。みんなで追い掛け回して捕まえて胴上げ。
これも駒苫がインターハイで優勝したときにだけやる伝統。
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はじめて見た時を鮮明に覚えている。


観客が誰もいなくなり、照明も落とされ、薄暗いリンクでひたすらはしゃいで、
いつまでもいつまでも追いかけっこをしてる選手たち・・・。

全ての重圧から解放され無邪気な子供に戻った選手たちの顔。




















もし勇払がやるならこんな感じになるだろう。
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でも結局、このシーンがあると間延びするんで本編のラストがベストだった。

実際の駒苫の追いかけっこもムッチャ早いバックスケーティングで逃げ回ったりするので上のイラストは大げさではない。
全力で決勝を戦ったあとなのに・・・
しかも前日ダブルヘッダーで朝と夕方に戦ったあとなのに・・・
タフすぎる。

実際、駒苫は決勝戦よりも、前日の二試合目のほうが動きが良いのだそうだ。恐ろしい練習量の成せるワザ。







胴上げが行われるちょっと前の風景。円陣で校歌をうたう。

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そしてその様子を横目に、負けたチームのGKが去って行くのを見つけて思わず撮る。
いつかこのシーンを最終回で描きたいと思っていた。


連載が決まる、ずっとずっと前のことだ。
写真は作中で、このまんま使われている。
リンクも同じ日光霧降アリーナ。











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会場から外に出ると飛行機雲。

おなじく最終回で使った。
あの飛行機雲は主人公たちが飛行機で帰ったということを表したつもりだったが
はたして千歳行きの飛行機は日光上空を通るのか・・・。

調べないで欲しい。
知らないほうがいいことはある。




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最終回ついでに・・・・

ロウとハルナが池で会話するシーン。
亡くなった母親が、幼い頃どのへんでスケートしていたんだろうね、とふたりで話す。


これの元ネタは「北の国から」だ。
スピナマラダは最初から北の国からを意識していた。
東京から出てきた純が田舎の不便さ、自然の厳しさにブツクサいうあの感じ。

北の国からは
全24話までの連続ドラマ版が好きだ。
連続ドラマ版、最終回の純のナレーションが特に好き。


純と蛍の母親が生前、二人へ残した手紙に富良野の雲が綺麗だったと書かれており、
それについてのナレーションでドラマは終わる。


「母さん
・・・・
今日も雲が
綺麗です・・・・。母さんが見たっていう雲はどれだか分かりません。
だけど、その雲を、ボクと螢はどれだったんだろうと時々話しており
・・・・。 」







    週刊ヤングジャンプ
    「ゴールデンカムイ」連載中

    既刊
    「スピナマラダ!」全6巻

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